法令の種類について説明してください

  • 2014/5/19
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法律は社会のあり方を定めているルールですが、その法律も一定の約束事を基にして作られています。そもそも世の中にはどんな法令があるのか、「法令の読み方」という本を参考にして簡単に説明していきます。
初めに、憲法は以下の条文のように国家と国民との関係を定めており、法律の法律と言われています。
第三十条 国民は、法律……により、納税の義務を負ふ。
第八十四条 ……租税を課し、又……変更するには、法律……による……。
第九十八条 日本国が締結した条約……国際法規は、これを誠実に遵守する……。
法律とは、国会の議決を経て制定される法です。これに対し国会が制定するのではなく、国の行政機関が制定する法を広く「命令」といいます。命令はその制定権者によって、内閣が制定する「政令」、内閣総理大臣が制定する「内閣府令」、各省大臣が制定する「省令」などがあります。内閣が制定する「政令」には、執行命令としての「実施政令・委任命令としての「委任政令」があります。政令の形式的効力は法律に劣りますが、委任政令の効力は、委任された範囲内では委任した法律と同じ効力を有します。また、執行命令は法律の規定を執行するために必要な手続き的事項を定めるものとされています。法人税法施行令の冒頭には、次のように記されています。
内閣は、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の規定に基づき、及び同法を実施するため、法人税法施行規則(昭和二十二年勅令第百十一号)の全部を改正するこの政令を制定する。
よって、法人税法施行令は内閣が制定する「政令」で執行命令としての「実施政令」であることがわかります。法人税法施行規則の冒頭には次のような記載があります。
(昭和四十年三月三十一日大蔵省令第十二号)
最終改正:平成二一年八月二八日財務省令第六一号
法人税法及び法人税法施行令の規定に基づき、並びに同法及び同令を実施するため、法人税法施行細則(昭和二十二年大蔵省令第三十号)の全部を改正する省令を次のように定める。
したがって、法人税法施行規則は各省大臣が制定する「省令」であることがわかります。
続いて、不文法についてです。慣習法とは、人々の間で行われている慣習的な規範のことです。社会の秩序を維持するためには、その慣習にしたがう必要があると人々が確信しているものを指し、法的効力を有するとされています。以下の法人税法施行令第百三十七条において、土地を賃借する際に支払う慣行のある権利金という形で出てきます。一時金を収受することが法律で決められているのではなく、取引上の慣行として一時金の収受が行われているということは、まさにその地域の人々の間で行われている慣習的な規範ということです。
(土地の使用に伴う対価についての所得の計算)
第百三十七条 借地権…-…の設定により土地を使用させ、……その使用の対価として通常権利金その他の一時金を収受する取引上の慣行がある場合においても、当該権利金の収受に代え、……相当の地代を収受しているときは、当該土地の使用に係る取引は正常な取引条件でされたものとして、その内国法人の各事業年度の所得の金額を計算するものとする。
裁判は、「個別具体的な事件」を具体的に拘束することにとどまるので、判例は一般的に法的拘束力をもつわけではありません。しかし、一般的にいって裁判所は同じような事実関係であれば過去の裁判と異なる裁判をすることもないと考えられることから、判例も事実上の拘束力を持つといえると考えられています。特に最高裁の「判例」は下級審の「裁判例」とは異なり、事実上の拘束力を有すると考えられています。税務訴訟で同じような事例が裁判になったときには、同様の判断がくだされると考えてよいでしょう。ただし、もともと判例は個別事案の争いに裁判官がある一定の解決を与えたものと考えられることから、判例、判例といってしまうと争い方のテクニックによって裁判官の心象が決められることとなります。そもそも税法はどのように規定したかったのか、税法の意味するところは何なのかという視点を見失わないようにする必要があります。
そして、国際法についてです。条約は、憲法の定めるところにより国内法に優先して適用されると考えられており、つまり、国内法ではない条約があたかも国内法のように、むしろ国内法の定めるところを超えて優先的な法的拘束力を有すると考えられています(憲法第九十八条を根拠とする)。しかし、条約は国家と国家の間の権利義務を定めているものなので、そのままでは国内法のようにストレ一トに法的効力を持ちません。条約の内容があたかも国内法と同じように私人間、または私人と同家との間に適用可能なものとするには、一般的には別の立法措置が講じられなければならないと考えられています。税務上も各国との間に租税条約というものが結ばれており、日本国のある法人が条約締結国の法人に特許権の使用料やロイヤルティなどを支払う際の源泉徴収税率を、国内法で定める税率より低い税率で定めています。ところが、この軽減税率の適用は国と国との関係で決まっているに過ぎないので、日本の法人がこの条約の適用を受けるためには、別途、「租税条約の実施にともなう所得税法、法人税法および地方税法の特例等に関する法律」すなわち、実施特例法の定める諸手続きを取らなければなりません。
最後に、その他の法規について説明します。まず、告示とは公の機関がその決定した事項その他の一定の事項を公式に広く一般に知らせること、またはその形式の一種を指します。国税に関する申告期限を指定するために告示が出されるケースがあります(平成18年9月11日の国税庁告示第22号は、新潟県の長岡市のある地域の国税の申告期限を、本来の期限から別途の期限を指定するために出された)。次に、通達とは行政機関が所管の諸機関及び職員に対して発する命令や示達のことです。これは職務運営に関する事柄や法令の解釈、事務手続き上の運用方針等に関する事項を示したものであり、下級の行政機関等を法的に拘束しますが、直接国民や裁判所を拘束はしません。しかし、専門家が専門的な見地から作成しているものなのである一定の権威を持ち、下級機関は通達に反した処理をすることができないため、現実の行政活動はこれらの通達に則っておこなわれます。税務の世界では、法人税、所得税、消費税など、各税目別に基本通達が制定されています。資産税関係では財産評価通達が定められ、租税特別措置法にも通達が定められています。さらに個別案件に対しても個別通達が定められており、まさに通達だらけで通達行政などといわれています。この通達に則して税務調査が行われ、通達の定めるところにしたがっていないということで否認が行われますから、非常に大事なものとなっています。通達に則して行われた調査結果に対して納税者が不満を持ったとしてもあとは裁判に訴えるほかないため、通達は事実上大きな影響力を持っています。そして、訓令とは職務運営の基本に関する命令事項を内容とするものです。国税庁レポート2005年度版(HTML)において、「10.国税庁の事務の実施基準及び準則に関する訓令」として定められているものがあります(国税庁ホームページで閲覧可能)。
また、条理とは理性による物事の筋道または社会通念であり、具体的に当てはまる法令がないようなときにも裁判官は条理を推考して判断しなければなりません。税務調査上でも個別問題点について判断する場合、社会通念に基づいて判断しなければならないことがよくあります。例えば、所得税基本通達36-21には次のように定められています。
36-21 使用者が永年勤続した……の表彰に当たり、……招待し、又は……を支給することにより……利益で、次に掲げる要件の……ものについては、課税しなくて差し支えない。
(1)当該利益の額が、当該役員又は使用人の勤続期間等に照らし、社会通念上相当と認められること。以下略
(課税しない経済的利益……創業記念品等)
36-22 使用者が……支給する記念品……ものについては、課税しなくて差し支えない。
(1)その支給する記念品が社会通念上記念品としてふさわしいものであり、かつ、そのものの価額(処分見込価額により評価した価額)が1万円以下のものであること。以下略
法令の効力については、時に関する効力、場所に関する効力、人に関する効力の3つに分けることができます。
・時に関する法令の効力
法令は制定された後、実際に交付・施行されて始めて効力が現実のものとなります。そのため、何時から施行するかという施行期日の定めがその法令の効力の始期を定める上で大きな意味を持ちます(通常、法令は官報に掲載することによって公布されます)。この施行期日はその法令に定められている附則の冒頭に定められており、その日から効力を発揮することとなります。
・場所に関する法令の効力
一般的に、日本の法令は日本の領土にわたって効力を有することとなるため、原則的に日本の領土外には効力はおよびません。しかし、日本の領土内であっても米軍基地などには、日米安全保障条約や地位協定などにより日本の法令は効力を有しないこととなっており、日本の法令の効力はおよびません。逆に日本の領土外でも、公海上にあるわが国の船舶や航空機内において効力がおよぶ場合もあります。
・人に対する法令の効力
日本の法令は日本人・外国人を問わず、日本の主権がおよぶ領土内にいる人に効力がおよびます(属地主義)。この原則的な属地主義だけでは外国にいる日本人に効力がおよばないため、日本国民が国内外にいるかどうかにかかわりなく、日本の法令の効力が日本国民におよぶとする属人主義で補完しています。税法は外国人に対しても適用され、法人税法では第二章納税義務者の第四条の第3項で次のように定められています。国内源源泉所得は、第三編の「外国法人の法人税の第一章国内源泉所得の第百三十八条」にて、いくつかの例が定められています。
3 外国法人は、第百十八条(国内源泉所得)に規定する国内源泉所得を有するときは、……この法律により、法人税を納める義務がある。
個人の場合は所得税法の第二条の定義規定で、居住者、非永住者、非居住者と区別されて納税義務が課されており、それぞれについて課税関係が整理されています。
第二条 ……次に掲げる用語の意義は当該各号に定めるところによる。
 略
三 居住者国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて一年以上居所を有する個人をいう。
四 非永住者居住者のうち、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去十年以内において国内に住所又は居所を有していた期問の合計が五年以下である個人をいう。
五 非居住者居住者以外の個人をいう。
これを受けて、次の第五条で納税義務が課されています。
第五条 居住者は、この法律により、所得税を納める義務がある。
2 非居住者は、次に掲げる場合には、この法律により、所得税を納める義務がある。
一 第百六十一条(国内源泉所得)に規定する国内源泉所得(次号において「国内源泉所得」という。)を有するとき(同号に掲げる場合を除く。)。
二 その引受けを行う法人課税信託の信託財産に帰せられる内国法人課税所得(第百七十四条各号(内国法人に係る所得税の課税標準)に掲げる利子等、配当等、給付補てん金、利息、利益、差益、利益の分配又は賞金をいう。以下この条において同じ。)の支払を国内において受けるとき又は当該信託財産に帰せられる外図法人課税所得(国内源泉所得のうち第百六十一条第一号の二から第七号まで又は第九号から第十二号までに掲げるものをいう。以下この条において同じ。)の支払を受けるとき。
3 内国法人は、国内において内国法人課税所得の支払を受けるとき又はその引受けを行う法人課税信託の信託財産に帰せられる外国法人課税所得の支払を受けるときは、この法律により、所得税を納める義務がある。
4 外国法人は、外国法人課税所得の支払を受けるとき又はその引受けを行う法人課税信託の信託財産に帰せられる内国法人課税所得の支払を国内において受けるときは、この法律により、所得税を納める義務がある。

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