顧問税理士の立場について説明して下さい

  • 2014/5/20
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取引関係の説明だけで税務調査が何事もなく終わればよいですが、現実には思いもよらないことに対し説明を求められ、いくら説明しても調査官が納得してくれずに夜も眠れないほど思い悩むなんてことはよくあります。調査が進むにつれてあぶりだされる問題点をめぐって調査官と議論するわけですが、何となくやり込められてしまいます。これは相手が税務のプロだからでも、何でも知っている怖い税務職員だからでもなく、議論には議論の仕方があるためです。自分が正しいと思うことをいくら言っても相手には通じないのは、調査官も自分が正しいと思うことを主張しているからです。お互いが正しいと思うことをぶつけ合うためどこまでも話しがかみ合わず、最後は社長が根負けしてどうでもよくなり、早く終わらせるために払える額を払うというケースは多いです。国税当局であれ納税者・税理士であれ、相手方との議論に負けないためには自分が正しいと思うことを主張するとともに、相手が事実関係を誤認していることや把握していない事実が他にあることを指摘し、そもそも論理の組み立てがおかしいことを指摘するしか方法はありません。こうしなければ終わらないのが議論の難しいところであり、自分の正しさを立証しつつ相手の議論の組み立ての不備や矛盾点までも立証することは非常に難しいことです。このようなことを、事実関係をもとに法律関係の中で指摘することは一層難しいことなので、社長は本業にまい進してこのようなことは信頼できる税理士の先生に任せましょう。
顧問税理士の税務調査での立場については、税理士法に税理士の立場や身分、役割などが規定されています。税理士法第一条では次のように、税理士は独立した公正な立場で納税義務の適正な実現を図ることが使命とされています。
・税理士の使命
第一条税 税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。
納税者の立場に立って納税者の便宜を図るということでなく、 「独立した公正な立場」に立つものとされており、その上で「租税に関する法令に」基づいて税務処理を行い、「納税義務の適正な実現」をはかることがひいては「納税義務者の信頼にこたえ」るものだということです。つまり、納税義務の適正な実現がそもそも「納税義務者の信頼にこたえる」ものだと言っています。税理士の立場、役割についてはこれでわかりましたが、そもそも各税法はこの納税義務の適正な実現をどのように規定しているのか税法の規定を見てみましょう。
・国税通則法
(目的)
第一条 この法律は、国税についての基本的な事項及び共通的な事項を定め、税法の体系的な構成を整備し、かつ、国税に関する法律関係を明確にするとともに、税務行政の公正な運営を図り、もって国民の納税義務の適正かつ円滑な履行に資することを目的とする。
・法人税法
(趣旨)
第一条 この法律は、法人税について、納税義務者、課税所得等の範囲、税額の計算の方法、申告、納付及び還付の手続並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めるものとする。
・所得税法
(趣旨)
この法律は、所得税について、納税義務者、課税所得の範囲、税額の計算の方法、申告、納付及び還付の手続、源泉徴収に関する事項並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めるものとする。
・相続税法
(趣旨)
第一条 この法律は、相続税及び贈与税について、納税義務者、課税財産の範囲、税額の計算の方法、申告、納付及び還付の手続並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めるものとする。
・消費税法
(趣旨)
第一条 この法律は、消費税について、課税の対象、納税義務者、税額の計算の方法、申告、納付及び還付の手続並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めるものとする。
このように各税法とも納税義務の適正な履行の確保をその趣旨として定めており、課税当局も税理士も双方ともに納税義務の適正な履行、納税義務の適正な実現を図るものとされています。つまり、当局と税理士は決して敵対するものではなくむしろ同じ方向を向いており、目指すところも同じということです。したがって、税務調査で問題となっている事実関係を法に則して分析、解釈すれば、納税義務の適正な履行、実現が図られ、おそらくは同じ結論に達するはずなのです。それぞれの立場上、やむを得ず争いを選択することがあるかもしれませんが、争わないで事案をまとめることが税務調査の正しい受け方、上手な受け方であり、一番大事なことではないでしょうか。しかし、これで収まらないからこそ、皆さん税務調査で苦労して議論に議論を重ねるわけです。いずれにせよ、議論の組み立てには法律論的な頭を働かせなければならず、そのためには基礎的な学力として法律に関する知識が必要というわけです。
また、税務行政のあり方について平成22年度の税制改正大綱に興味深いことが2つ書かれています。まず、納税者権利憲章(仮称)の制度です。国民主権にふさわしい税制を構築していくため納税者の税制上の権利を明確にし、税制への信頼確保に資するものとして、「納税者権利憲章(仮称)」を制定します。具体的な改革として、更正等の期問制限について、課税庁からの増額更正の期間制限が3〜7年であるのに対して、納税者からの減額の更正の請求は期間限定が1年となっていることが上げられています。また、具体的な記述はありませんが、無予告の税務調査も見直してすべて事前通知となるのではないかといわれています。次に、国税不服審判所の改革です。国税不服審判所の機能、つまり課税処分に納得できない納税者の権利を救済するという機能を十分に果たすために、組織や人事などを見直そうとしています。また、日本年金機構を廃止してその機能を国税庁に統合、歳入庁を設置するという方向で検討が進められています。

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